JGSDF MITSUBISHI JEEP CJ3B-J4
陸上自衛隊 三菱ジープJ4

ちょっと変わったものを作ってみようかなと思って。

ブリスターパッケージがかわいい、OKUNOのCJ3B-J4A
自衛隊の1/4トン・トラックです。
昔の怪獣映画にもよく登場している車輌ですね。

 このキットはデフォルメモデルなので、ストレートに組むと、こうなります。
 メーカーサイトにも「おもちゃ」とか書かれてしまってます。
 ところが、これがけっこう精密なモールドが入っている。スライド金型までも使って、少ない部品数で三菱ジープの特徴がみごとに表現されています。もちろん「おっぱいボンネット」もしっかり再現。
 実はデフォルメされているのは下半分(フレームと車輪)なので、それさえ換装してやれば、1/35スケールモデルになってしまうキットだったりするのです。
 これを使います。

 タミヤのウィリスMBです。
 さっそく合体させてみます。
 いいじゃないッスか!

 すんなりぴったり、というわけにはいきませんでしたが、ちょこちょこと数ヶ所けずってやるだけで合ってしまいました。

 さて、部品が揃ったので、あとは接着して塗装すれば完成なのだけれど、すこしだけいじってみたいと思います。
 キットはJ4Aの初期型っぽいので、これを60年代後半から70年代にかけて(怪獣映画全盛の頃)の状態にしたいと思います。
 一般道も走行可能にするため、道路交通法に則った保安部品などを追加したタイプ。

  1. これは倒した時のウインドーが乗っかるバネ。キットはワイパーがボンネットにあたってしまってここまで倒れないけれど、真鍮線に交換(本当は板バネなので丸棒使うのはだめなんだけど…)

  2. フェンダー上に方向指示器を追加。

  3. サイドミラー取付基部のモールドがありますが(ウィリスジープと同じ位置)、この位置にミラーをつけると当時の道交法では違反。なので、ここは埋めてフェンダーミラーに変更。
     今でこそドアミラーなんて普通、というか主流になってますけど、昔はフェンダーミラーしか認可されなかったのです。欧米でドアミラー装備としてデザインされたクルマでも、日本で走るためにはフェンダーミラーに改造しなければならず、それを聞いた世界的デザイナーのジウジアーロ氏が激怒、なんてことがありました。

  4. 後部バンパーについてる筒状の部分を、一度切り離してから上下逆につけ直す。

  5. それと、忘れてならないのがナンバープレート。これをつけてないと公道は走れません。運輸省発行のではなくて自衛隊の車両番号を書いたプレートですけど。前バンパーと荷台後部に取り付けます。


運転手はウィリスMBのアメリカ兵を、ポーズそのまま服だけ自衛官に

機銃手はタミヤ旧版ウィリスMBのものを改造

60年代以降を象徴する62式機銃はピットロードの89式装甲戦闘車についてたもの

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 調子に乗って、タミヤの旧版ウィリスMBを使ってもう1台作ります。
 新版キットには運転手ひとりしかついていないけれど、この旧版キットにはフィギュアが4人ついてます。しかも幌やトレーラーと、そこに積み込む弾薬箱、無線機、ジェリカン、毛布、などがセットされていて、このキットだけでビネットが作れてしまう勢い。
 まあ、旧版なので、パーツの出来はそれなりなんですけどね。
 最近、こういうオマケが充実したキットは少なくなりましたね。それどころか、フィギュアの一体もついてないものが大杉。AFVには必ず人を乗せたい私としては寂しいかぎりです。

 こちらはウインドーを固定して幌を取り付けてみます。
 でも、キットの幌では、大きさが微妙に合いません。
 どうせ側面もないし、思い切って作り起こすことにしました。
 ボンネット上のバネはこの段階ですでに真鍮線に換えてあります。
 真鍮線で支柱を立てて
 水溶き木工ボンドをしみこませたティッシュで幌を作る。

 サイドミラー取付部は埋めて、フェンダー上にプラ丸棒で作った方向指示器を追加。
 ティッシュ+木工ボンドだけだと脆すぎるので、ポリパテを塗って固める。
 さらにパテを盛り、表面のシワを整えて幌の継ぎ目を作ってから、窓の部分を切り抜く。
 幌内側の塗装をすませて窓に透明ビニールを接着したら、さきに塗装をすませてある車体に取り付け。


幌の形状にはいくつか種類があったことが当時の写真などで確認できます

なかでもいちばん簡単そうに見えたのを選択……

のちの73式小型トラックのに似たタイプの幌

トレーラーはウィリスMBと同じ形状のようですが、一般道を走行する時には
方向指示器やナンバープレートを付けないといけなかったはず……(資料がない)

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さて、J4シリーズには、対戦車兵装を搭載した派生型がありました。
60式106ミリ無反動砲を積んだのがM型、64式対戦車誘導弾(MAT)を積んだのがP型。
それも作ってしまいました。

 CJ3B-J4M
←無反動砲はこれがそのまま使える。
 これはスカイボーのやつだけど、同じものが今はAFV倶楽部から出ています。
 ↓これ。
 
 TOWとセットでエッチングパーツ付の箱パッケージになり、ちょっと値段が上がってしまいました。
 砲身が貫通するウィンドーは、キットのものに切り欠きを入れ、下部の折りたたみ部周辺をプラ板で作製。
 折りたたみ方式が違うので、倒した時のウィンドー位置も変わる。ボンネット上の受けバネをそれにあわせて移動。
 もとのウィンドー取付部とサイドミラー取付部は埋める。
 おそらく砲弾搭載の都合で荷台後部が延長されているので、プラ板で作成。車体側面の反射板が延長部分に移動しているので、キットのモールドを切り取って移設。
 ナンバープレート、スペアタイヤ、ジェリカンの位置も変更になっています。荷台右外側にジェリカンを取り付けた車両もあったようです。
 M型は運転手の顔のすぐ右側に無反動砲の砲身があり、また右フェンダー後部にはスペアタイヤがあるので右方向の視界がめちゃくちゃ悪い。なので、右のフェンダーミラーだけ高い位置にあります。ミラーアームがただ長くなっただけではなく、基部が三脚構造です。


砲手は旧版ウィリスMBの「助手席の人」

幌用支柱の収納金具はない

これを完成させた直後に、OKUNOからJ4M発売予定が発表されたんですが……

 CJ3B-J4P
 P型は荷台側壁に誘導弾の重量がかかるので、内側がアングル材によって強化されている。プラ板で再現。
 64式誘導弾は流用できるものが何もなかったのでプラ板、プラ棒、真鍮線などを駆使してスクラッチ。なぜか製作途中の写真を一枚も撮ってなかった……。


有線誘導弾なので、発射機後部に電線の束がおさめられている

発射機は180度回転させて左右に展開しつつ前方を向く

ちなみに発射機の展開はのちの73式トラックのとは回転方向が逆

M型同様に幌用支柱の収納金具はない

 旧版フィギュアの最後に残った一体は、いわゆる「北海道迷彩」にしてみた。64式小銃はプラ板・真鍮線でスクラッチ。
 この服の人がいると、70年代以降になる。すでに73式小型トラックが登場しており、J4、特に左ハンドルのタイプは姿を消しつつあった。

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